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会津よいとこ(15.07.20)

 「乗り鉄」でも「撮り鉄」でもない。世の中には「ケチり鉄」と呼ぶべき種族がいる。厳密には鉄(鉄道)への思い入れは必須ではないので、単に「ケチ」とも言える。冷静に考えると「この二つの駅間・電車に乗らずに歩いて乗車を二回に分けるだけで、同じ路線が60円安くなる!」というのは鉄への愛でも何でもない。乗る距離を減らしているんだから。単なるケチ。要は筆者だ。

 鉄路で東京から東北に向かう場合、東北本線で郡山→福島→仙台→さらに以北へと向かう。この一直線のルートから離脱し、新潟に向かう感じで70分。磐越西線の終点が「会津若松」駅だ。
 東北本線からは外れるが、逆にいえば会津の内奥への入り口に当たる。これまでに二回ほど、仏像を観に赴いたさい中継駅として利用した。そのうち一度は宿泊もしている。
 その会津若松にまた泊まる機会が訪れた。郡山で開かれた一次創作オンリーの同人誌即売会「みちのくコミティア」にサークル参加を決めたのだが、前日に現地に乗り込み宿泊するのに、同じ電車賃(週末フリーきっぷ使用)で、郡山より会津若松に安い宿があった。ケチり鉄、いや、単なるケチの本領発揮である。

 だが「よし、会津若松だな」と思ったのは、単に値段の問題だけではなかった。旅程の都合上、夜に訪れ早朝には去る慌ただしい滞在とはいえ、会津若松の街並みの見映えのよさは印象に残っていたのだ。

 駅周辺はまあ普通の地方の町だが、市役所のほうに向かうと、きれいな直線の通りの左右に、なんとも好い感じの家屋群が現れる。

 江戸時代を彷彿とさせる伝統的な白壁あり、町家ふうあり、近代的にモダンな建物あり。見せるための一級品を目指して意図的に作られた美観というほどの作為性はなく、街の古びをふつうに大事にしている、そんな印象。さほど多くの街を知ってるわけではないので、こんな感じの場所が日本のあちこちにもあろうとは思う。けれど、この街がそのひとつであることは確かだ。

 前に訪ねた時の写真も貼っておく。七日町駅の近辺。

 馬骨スープ・馬肉チャーシュー・会津味噌で作った「馬味噌(うまみそ)ラーメン」、気になる…

 もちろん会津若松といえば歴史の街だ。その方面のファンも多かろう。今は鉄路でも行き来がまばらな感じがするが、会津と越後を結ぶルートも、さまざまな縁とドラマを運んだことと思われる。
 残念ながら自分は歴史への興味が薄く「会津といえば◯◯ですよね!」と目をキラキラされても応えようがないのですが、ファンなら尚更、訪れるに値する街だと思います。その根拠が「家屋を眺めるだけで飽きない」では不安もありましょうが…

 食べ物としての名物は「ソースかつ丼(かつ重)」であるらしい。駅前には日帰り温泉もある。また、駅そばがキチンとした本格的な蕎麦屋で評判(写真には入れてないけど好かったです)。

 生乳50%以上使用を謳い、どこのコンビニでもスーパーでも置いてある「酪王カフェオレ」、85℃15分でじっくり殺菌された「べこの乳」どちらも好し。

追記
 一方、郡山。郡山には「クリームボックス」と言われる地元名物の菓子パンがあると知り、みちのくコミティアの前に市内をてくてく。昔から市民に愛されていると評判のパン屋は、ほんとに次々と生活感あふれるお客さんが入っていく。お値段も庶民的で、壁には石塚英彦さんの色紙が。しかし石塚さん、なんでも「まいうー」と書けばいいんだから、アレは発明だよな…

 で、件のクリームボックスは、小ぶりで厚めの食パンにミルク感ある白クリームが盛られた一品。発祥は別のお店で、郡山じゅうのパン屋で売られてる由。このお店にはカフェオレ味もありました。
さらにオマケ
 そしてコレは名物でも何でもないけど、郡山で見かけた売り家。前の建物名の、使えるところだけ残したみたいなのだが、新しい持主は「◯◯ビル」の◯◯だけ、同じ素材で作りなおすのかなあ?

(c)舞村そうじ/RIMLAND ←1508  1506→  記事一覧(+検索)  ホーム